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私の弟は勝生勇利。どこにでもいる日本のフィギュアスケーターで右手にロシア人コーチと揃いの指輪をしてニコニコしながらロシアへと旅立っていった男だ。 さらにいうのであれば、いま、世界で最も注目を浴びている男でもある…。

私の名前は勝生真利。
そう、勝生勇利の姉。あのロシア人コーチと熱愛発覚した日本人スケーターの姉。

私もスケートするのかって?
しないわよ、やめてよ。全然興味ない。見る方専門。
応援するのは昔から嫌いじゃないの。もともとバンドの追っ掛けとかしてたしね。ま、いまもそうだけど!

フィギュアの応援はね、弟がやってたからってのが大きいんだけど、私と勇利って年齢差あるじゃない?そのせいかな、勇利のこと全然意識してなかったんだよね~。
私も性格上子供を可愛がるってタイプじゃなかったから。

ほら、私と勇利って7つ歳が離れてるでしょ。大きいのよコレが。

勇利が産まれる前まで私はひとりっ子でさ、しかも勝生家にとっては初めての子供。おまけに女の子とくれば、両親どころか爺ちゃん婆ちゃんにまで可愛がられて育ったの。で、忘れた頃に勇利が産まれた。
みんな私が跡取りだと思ってたし、女の子だし初めての子供だし、そりゃあ大切に育てられてたワケよ、ウザいくらいにね。
だから私にとってみれば勇利が産まれたことによって負担が半分になった。

私と話してれば大体予想がつくと思うけど、そんなにいい姉じゃなかったのよね~。性格的にもパサパサしてて、弟を熱心に可愛がるようなタイプじゃないし。7歳の年の差は大きな壁だったわけ。

勇利が産まれてからも両親の態度は変わらなかったわよ?勇利のスケートにお金がかかるのは知ってるけど、実は勇利のスケートに本格的にお金がかかるようになる前までは、私にお金がかかってたのよね。
ホント、申し訳ない姉弟だわ。

好きなことさせてもらってたわけよ、姉弟そろって。
大切な一人娘で初めての子供だから、両親はスケートのことがあるまで勇利よりも私にお金かけてたと思う。学校だって少し遠い私立のいい学校に通わせてもらってたし、洋服だって街までいってブランド物買ってもらってたのよ。
女の子だからさ、チヤホヤされてたの。
逆に勇利はそういうの全然だったわね。笑える話だけど、粉ミルクからしてお手頃価格。私の時なんて張り切って店で一番高いの買ってたらしいけど、二人目になると仕事もあるしそこまで手をかけられなかったみたい。
だから勇利って母さんにおぶわれて早くから店に出てたの。逆に私はその頃、小学生で友達と遊び回ってた。
家の手伝いとか、私も勇利もしたことないのよね~。従業員もいたし、人手不足なんてことはなかったから。
ウチ結構老舗でお金持ちだったのよ昔は。
だから私も勇利も好きなことさせてもらえた。

私は勇利と違ってバレエにもフィギュアにも興味なかったから、普通に遊びまわってたわけよ。
中学の頃にはバンドにはまって学校休んで全国ツアーに行きまくったり、推しメンと同じ髪型にするために髪染めて悪目立ちしたり、こんな性格だから女の子にもよくモテてたわね。よく家に後輩が押しかけて温泉入っていったりね。どんなに騒々しくても両親は私を叱ったりしなかった。
勇利にいうみたいに「真利は真利のやりたいことやればよかよ!」って笑って許してくれた。だから自由気ままに生きてたわ~。
留学もしたのよ。大学だって行かせてもらったし、一人暮らしだってしてた。

でも結局戻ってきて家業を手伝うことにしたの。
だって私は長女で、跡取りで、勇利が産まれてもそれは変わらなかった。なにより勇利にはフィギュアもあったし、あの性格じゃ接客業はムリ。

7年遅れて産まれてくるって、そういうことなのよ。

勇利が産まれたからって、何も変わらなかった。

そもそも赤ん坊の段階から、勇利に客商売は向かないって誰もがわかってたしね。
赤ん坊の頃から勇利は勇利だった。
だからバレエ教室が託児所がわりになったの。笑えるでしょ?そんな理由で勇利のスケート人生が始まったワケよ。
爺ちゃんも婆ちゃんも亡くなって子守できる人間もいないし、引っ込み思案だった勇利には友達もいないから遊ぶ相手もいない。だからバレエ教室は勇利にとっても嫌なものじゃなかった。私には理解できなかったけど、毎日楽しそうに通ってたわよ。

私?
私は弟のために部活休むつもりも、追っ掛けやめるつもりもなかったし、両親もそんなこと望まなかったからね~。私はいつだって私のやりたいことをやらせて貰ってた。

でも弟の応援はちゃんとしてたわよ。あんまり接点のない姉弟だったけどさ。
私の友達が家に来ると、そそくさと隠れてバレエ教室に行くような弟だったけどさ。
私が髪を染めたとき、固まって不審物を見るような目を向けてきた弟だったけどさ。
私が受験生してたとき「がんばって」って交通安全のお守りくれるような弟だったけど…。
おまけに、平日の昼間に学校休んでライブに行った私を「真利姉ちゃんって凄いよね」って声かけてくるような弟だったけど!
そういえば…私の留学が決まって一年間いなくなるって時でさえスケートの練習を優先させて別れの挨拶一つしてこなかったな。
久し振りに話しかけてきたと思ったら「都会の本屋にしか売ってないから…」とかいってライブにいく私に金を押し付けてスケート雑誌を買いに行かせるような弟だったし。

でも、私が大学進学を機に本格的に家を出て一人暮らしするってとき、アイツ泣いてたな。

結構かわいいところもあんのよ、アイツ。

まさかそんなアイツが日本を代表するスケーターになるなんてさ~。
デトロイトに留学するような根性見せるなんて。
部屋中に貼りまくってたポスターの人間を家に呼び寄せるような人間になるなんて…。
挙句にその相手と熱愛報道でゴシップ記事とワイドショーを賑わせる日が来るなんて…

「フィギュアってほんと怖いわ…」

で、お客さんいい加減注文決まったの?
私も暇じゃないのよね~。見ての通り、アイツの熱愛報道のおかげでウチは繁盛しまくりだからさ。

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