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サスケとイタチ。寝る前のお約束のお話。


ガキの頃、俺は大抵の子供が嫌がる歯磨きが好きだった。
理由は簡単…

「サスケ、歯磨きの時間だぞ」

俺の歯を大好きな兄さんが磨いてくれていたからだ。
大好きな兄さんの温もりが常に近くに感じられる歯磨きは、子供の俺にとって純粋に至福の時だった。

ときに膝枕をし、ときに頬に手を添え、弟思いのイタチは俺の健康に気遣い献身的に歯磨きをしてくれた。

磨き残しがないか、顔を近づけ覗き込んでくるとき、小さいながらも俺はいっちょまえにドキドキした。
そして「できた!」という仕上がりの合図と共にイタチが見せる笑顔が大好きだった。

夜寝る前にこんな事をされると誰だって離れ難くなる。
当時まだ子供で分別のつかない俺は、欲望のままに兄に迫った。

「一緒に寝てくれなきゃイヤだ!」と…。

幼い俺にしがみ付かれ、困ったように笑いながら「仕方ないな…」というイタチ。イタチは一度として俺の願いを断ったことはなかった。
そう、イタチが中忍になるまでは…。

いまでもそのおかげか、俺には虫歯が一本もない。

忘れ難いイタチとの思い出は、俺の身体のそこら中に染み付いていて、忘れることなどできやしない。
イタチの存在を消すことなど俺にはできやしないのだ…。

生きている限り、永遠に、俺はアンタに囚われ続ける。

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