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イズナちゃんの世界はマダラちゃん中心に回ってますから!




マダラが職場で吐き気をもよおし洗面所へ駆けて行った。もちろん兄者はその後を追いかけ、仕事を放り出し、でていった。

「だいじょうぶかマダラ!」
「うるさい…少し吐き気がしただけだ。離れろ!触るなっ」

廊下から聞こえる二人の話し声に桃華は冗談交じりに「つわりか?」と肩をすくめながらオレに視線を向けてきたが、あながち冗談とも言い切れないのが現状だ。察しろ。
「仕方ない…」と溜息まじりにオレは出て行った二人の仕事に手を伸ばしたのだが、それと同時に執務室の扉が遠慮会釈なく力一杯開かれた。

バーーンといった具合にな。察しろ。

もちろん誰が入ってきたかなど確認しなくともわかる、イズナだ。
どこから聞きつけたのか、兄の不調に仕事を放り出し駆け付けたらしい。

「兄さんは!?」
「洗面所だ」
「くそっ、柱間と一緒か!」

おいおい…仮にも火影だぞ。
いや、まぁ、それは百歩譲ったとして…だ。

オレの言葉に直ぐさま踵を返し兄の元へと駆けて行こうとするイズナに無性に腹が立つ。そして口を突いて出た言葉がこれだ…。

「おまえは、マダラとオレのどちらが大切なのだ…」
「兄さん!」

一刀両断された言葉に零れる本音。

「いい加減、オレの堪忍袋の緒が切れるぞ…」

たとえイズナとオレの間に、兄者とマダラのような特別な何某かはなくとも、オレはお前が好きなのだ。
だからお前が「兄さん、兄さん」と、オレの嫌いなアイツにくっついているのを見るのは我慢ならないのだ。

察しろ!

だがお前はそんなこと、知る由もないのだ。悟らせないのは、多分、オレの最後のプライドというやつなのだろう。

「はぁ…」
「つくづくメンドクサイ性格だな」

誰を指しての言葉なのか、言葉足らずな桃華のそれに、オレは本日三度目の溜息をつき仕事に戻るのだった。

可愛げがないのも、素直でないのも、たぶんお互い様なのだろう。

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