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イズナの目から見た扉間のお話。

シリーズみたいに「飼う」が続くから自分でも楽しくなってきたwww




扉間って実は心が狭いだろ?
あと臆病だろ?
それに繊細だろ。あと…本当は凄く敏感だ。

「心がね」と続けたイズナは、俺の腹の上に跨ったまま、そっとオレの心臓のカタチを指でなぞったのだった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

おいおい、なんだこの生き物は。これが「千手扉間」かよ…。

それが「千手扉間」と同じ里で暮らすようになってからの僕の感想。
正直に包み隠さず、兄さんの目も、一族の目も、周囲の目すら気にすることなく声に出して云えるのであれば、それが僕の素直な感想。
実際は里が出来たといっても、まだまだ一族間のシコリがあり、誰もが好意も好感も口に出しては言えない状態だった。
ただ少しずつ、ともに暮らすようになって見えてきたものがあり、手探りのような感じで互いのポジションを不器用に確認し合う…そんな幼子同士のままごとのような日々を僕たちみんなが送っていた。

そんな中で、僕の興味は一心に「千手扉間」に向かっていた。
千手のNo.2。
戦場では同じくうちはの二番手である僕の宿敵として刃を交え、命のやり取りをし続けた男だ。
あくまで「宿敵」決して「好敵手」などと思えないのは、兄たちの事が僕たちの人生にも大きく影響しているからだろう。

とにかく僕は全力で千手扉間と戦った。
そして負けた。

結論から言えば僕は負けたのだ。つまり僕たちの決着はついている。

ならば同盟を組み、里を興し、同じ里に住む仲間となった今、僕と扉間のポジションは決まったようなものだ。
扉間に負けた僕は、里においてNo.4。
扉間に道を譲り気を使うのが道理だ。それがケジメというもの。
これは暗黙の了解のようなものだ。

なのに扉間は僕を同列に扱った。

僕を後ろへは置かず、隣に置いたのだ。これに対し僕は常識を持って一歩下がった。しかし僕が一歩下がると「仕事をしろ」といって僕を引き揚げに来る。そんな事が続けば、周囲も僕と扉間の関係に優劣があることを忘れてしまうらしい。
扉間は「人手はいくらあっても足りないくらいだ」と僕にこともなげに言うが、これが彼なりの優しさなのだと気付かぬ程、僕は単純な造りはしていなかった。
その一方で扉間は、僕の兄に対しては手厳しく、衝突が絶えないのだから不思議だ。二人はとても良く似ていると思うのに…。

そんなこんなで、扉間という人間を知るにつけ、僕は彼への興味が尽きなくなっていった。


決して潔癖症などではないのだけれど図体のデカさに反して神経質なところ。
千手の人間にありがちな体育会系の馬鹿じゃないところ。
完全に理系脳かと思いきや口達者で、意外にも文学などにも精通しているその知識。
不機嫌そうで取っつきにくそうな外見を裏切る面倒見のよさ。
意外にも子供好きで、笑上戸なところ。
理論派で合理主義者なリアリストでありながら酷く短気で怒りっぽい面。

ざっと見た限りでも戦場での扉間からは想像できない姿がそこにはあった。
かつて父様がいっていた「敵を深く知ることはお止めなさい。相手を殺せなくなる」という言葉が思い出される。

きっと今戦ったら、僕は「千手扉間」に制止の言葉をかけるだろう。
掛ける言葉は「里の未来を考えろ!」だ。

僕の目から見て、彼は彼の兄以上に里に対して思い入れがあるように見えた。夢や希望といった青臭いものではなく、現実の中で里の重要性を理解し、そして必要としていた。

頭の良いやつだ。でもあの性格では夢は見られない。

「生きるのが辛そうで可愛い…」と、僕は思った。
苦労性の彼は、実際、僕が思った通り偏頭痛持ちだった。
偏頭痛持ちの共通点は、まぶしい光やうるさい音、強いにおい、天候の変化などに敏感で、他の者が気づかないわずかな兆候も見逃さないところ。
なぜこんな共通点があるのか…。
それは脳に秘密がある。

片頭痛を持つ人間の脳というのは、片頭痛がない人間の脳より興奮性が高いのだ。
その働きが良すぎるため、小さな変化にも脳が反応し、それを神経の痛み信号に変換して頭痛を起こしてしまう。実に生きづらい生き物なのである。

とはいえ、この知識の一部は扉間の部屋に置いてあった人体関連の巻物から得たものなので、扉間は自分自身の厄介な体質を理解した上で臨機応変に対処しているようだが、それにしても面倒くさい生き物である。

ところがこの偏頭痛、あながち馬鹿にもできない。

脳の高い興奮性はつらい頭痛を起こす一方で、天才肌の優れた才能を持つ場合が多いのだ。僕の兄である「うちはマダラ」のように…。

二人はとにかく良く似ている。実際のところ一度意見の一致を見ると、意気投合し、目的の為に邁進するのだから仲が良いのか悪いのか…。
同族嫌悪というのもあるのかもしれない。

まぁ、それはさて置き、僕はこういう面倒くさい生き物が大好きなのだ。
どうせ飼うなら手のかかる生き物の方が愛情を持って接することができる!僕はそう考えている。

そんな僕は外見を裏切り、繊細そうに見えて実は図太く我が強い性格をしている。僕自身もそう思うし、兄さんもそれを認めてはばからない。

「お前は繊細そうな顔をして、そういう大胆なことをする…。千手の者たちも驚いていたぞ」

剛毅そうな顔をして神経質で繊細で偏頭痛持ちな扉間と、繊細そうな顔をして図太く図々しく我が強い僕。

僕たちはまるで反対だ。
でもだからこそいい。

もし僕が神経質で繊細で偏頭痛持ちだったら?
もし扉間が図太く図々しく我の強い性格だったら?

ハッキリいって最悪だ。仲間の足を引っ張ること請け合いだろう。
僕たちは外見を裏切っているからこそ良いのだ。


だが僕は知っている。
意志がシッカリしていて物事にひるまない扉間。
危険をあえて引き受ける男らしい扉間。
強い信念を持ち、逆境に耐えることのできる精神的な強さをもつ扉間。
自らの目的や信念を断固とした態度と決意によって示す扉間。
そんな扉間が抱える不器用さや、優しさ、そして人並みの弱さを、僕は知っているのだ。


こんな複雑怪奇で面白くて見飽きない生き物が他にいるだろうか?

それまで僕の中の扉間といえば、白い大きな狼のようなイメージだった。
でも今は、白いふわふわした小さな丸い毛の塊。白兎にしか見えない。


僕は思うのだ。
人知れず彼が抱えた心の傷に触れてみたい…と。
もしかしたら彼自身ですら気付いていない、その傷に触れてみたいと。

兄が僕の手を離れてしまった今、僕はただ純粋に、この可愛い生き物を助けてやりたいと思うようになっていた。

僕は図太く図々しく、我の強い性格をしていたが、同時に献身的で和を好む性質も持っていたのだ。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

「きみ、よくそんな性格で生きて行けるよね。生きづらくない?」
「ほっとけ」

「よくそんなんで柱間サンのこと支えようと思うよね。弟としての義務感?」
「質問攻めだな…」

「だって気になるんだもん。君が何を見て、何を感じて、どう判断してるのか興味ある」
「それは…」

それはつまりどういう事だ?

書庫でイズナと偶然出くわし、これまた偶然に踏み台から足を滑らせたイズナが降ってきた。おかげでオレはイズナの下敷きだ。イズナが抱えていた巻物も、オレが手にしていた巻物も、床に散らばり好き勝手に転がっていってしまった。
棚の下に転がり込んだ巻物を回収するのには骨が折れそうだ…そんなことを思い溜息をつくと、謝罪より先に妙な雰囲気がその場を占めているではないか。
これは一体…。

イズナを見れば、オレの上から退く様子もなくそのまま座り込んでいる。そしてその情景が、イズナに下心を持つオレにとっては、なんとも夜の情事を匂わせる体位で、素っ気なく「退け」とも言えず、かといって自分に非がない以上、間を繋ぐための挨拶のような謝罪も口には出来かねる。
そもそも謝るのはイズナの方なのだ。

このままというわけにもいかず、仕方なく床に倒れた上体を起こしかけると、オレを熱心に見つめたままのイズナが口を開いた。そして冒頭に戻るわけだ…。

イズナの言葉も醸し出す雰囲気も、オレに気があるように見える。
しかし本当にそうなのだろうか。
相手がイズナでさえなければ、オレは適当にあしらい流すこともできた。そもそも落ちてきたのがイズナでなければ、受け止めようとも思わなかった。

もっとも、それは失敗に終わり、二人して床に倒れこむ結果となったのだが…。

オレの混乱を余所に、イズナはさらに続ける。

気になるんだよ。危なっかしくて、つい手が出そうになる。君は千手なのに。
別に君のこと弱いとは思ってないよ?でもそんな性格でよくやっていけるなって感心する。

「君って不思議だよね。何考えて生きてるの?」

ぐいっと小さな顔をオレの方へと突き出して、黒水晶のはまった綺麗な瞳で問いかけてくる。その瞳に悪意はなく、ただ純粋な興味によって輝いているのが印象的だった。

「それはオレの方こそ、お前に聞きたい。お前はオレのことを…」
「すきだよ。きっと物凄くすきだ」

君の行動の根底には優しさがあるはずなのに、いかに合理的に物事を進めるか、最小の犠牲で済ませるかを追求し過ぎて、その行動原理であるところの優しさが隠れちゃってる。
そういう不器用で解りにくくて誤解を受けそうなところ、僕は嫌いじゃない。

「すきだよ、扉間」

オレの首に両腕を回したイズナは、小首を傾げうっとりとした表情を浮かべて見せた。そしてオレの上へゆっくり倒れ込んできたのだ。

(こっこれは…!!)

オレは全身が緊張で固まり、何も考えられなくなった。
オレはイズナのことを思ってはいたが、同時に進展は期待できないことも理解していた。イズナは男だし、マダラの弟で、うちはのNo.2だ。
加えてその実力はオレと拮抗し、強引に事を進められる相手ではなかった。
また性格的にも雰囲気でどうにかなる相手ではなく、まさに可能性の見出せない恋だったのだ。

だがいま、その恋に一筋の光が…!!

さすことは…

なかった。

「大好きだよ扉間」といってイズナがキスしたのはオレの額で、その後イズナはオレの頭を抱えで犬猫にするように撫で始めたのだ。

(これは…いったい!!?)

「あぁ、でもやっぱり、もふもふがついてる方が僕は好きかも」
「どういうことだ…」
「ほら、いつも着けてたじゃん。白いふわふわしたアレ」

アレが着いてる方が可愛いや。
あれがついてるほうがかわいいや。
あれがついてるほうが
あれがついて
あれが

「オレは…犬猫ではないのだが…」
「うん、知ってる。でも決めた…!今日から君は僕のペットだよ、扉間っ」

よろしくね!といってオレを強く抱きしめてくるイズナの真意がわからない。
まさかとは思うが、これは…!!


その日以来、イズナが物凄くオレに優しい。
マダラはオレを哀れむような目で見てくる。

何が起きたのか、誰か説明してくれないか…?

「大丈夫だよ扉間。僕が守ってあげるからね!」
「ちょっと待て!オレはお前に守られる必要性を一切感じないのだが!??」

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