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R15で柱マダ前提のイズマダのお話。
多分に性的な表現が含まれています。ショタエロが苦手な方、近親相姦が苦手な方はご注意ください。






【マダラ 一】

俺はどこかおかしくなってしまったのだろうか…。
イズナが隣に居るというのに、俺は…ッ

(はしらまぁ…っ)

イズナに背を向けた布団の中で、マダラは空いた片手で敷き布団を握り締め、声を噛み殺し一人静かに達した。
弾む息を必死に隠しながらマダラは心地よい脱力感の中、記憶の中の少年に問いかける。

(はしらま…どうしよう。おれ…)

脚の間に伸ばした右手は、未だ快感に震える性器を握り締めていた。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


俺が柱間と出会ったのは、俺が11のときだ。
川のせせらぎが心地よく耳に響く、初夏の頃。すべての生き物が輝きを放つ季節であった。
そしてそれは俺たちも同様で、初めてできた「友」に胸踊らせ心ときめかせ、まさにあのときこそが俺たちの人生で最も輝いていた瞬間だった。



11といえば誰もが皆「子供」だと思うだろう。だが実際のところ、11といえば身体が少しずつ大人に近づいてゆく準備段階なのだ。
もちろん、俺と柱間もその例に漏れず、少しずつ大人に近づいてゆく己の身体に充足感を得ていた。だから当然のように大人の真似をして逸物比べをしたり、互いの性器を立ちションのついでに眺めあったりしていた。
こんなことはイズナはもちろんのこと、一族の年の近い連中とだってできやしない。柱間とだからできた子供らしい好奇心ゆえの他愛ない遊びだった。

思えばあの頃はまだ、柱間も俺と似たような体躯をしていたのだ。今では俺よりひと回りも大きくなってしまったけれど…。

過ぎ去りし日を思い出し、マダラは同時に初めて柱間と互いの下肢を興味本位に触りあった時のことを思い出した。

イズナのような子供らしい性器から少し成長し、マダラの性器は睾丸が大きくなり始めている時期だった。イズナと風呂に入るとき、なんとなく前を気にするようになったのもこの頃からだ。
だが同じような年頃の柱間の下肢をみて、マダラは酷く驚いた記憶がある。

『なんぞ?そんなにジロジロみられると、恥ずかしいぞ』

自分と似たような年頃であるはずの柱間の下肢は、すでに睾丸が大きくなり、次いで陰茎が大人のそれへと成長し始めていたのだ。

『わりぃ…その、初めて見たから…そういうの』
『マダラは父上と風呂に入ったことないのか?』
『そうじゃねーよ!!大人のはグロテスクだろーが!そんな綺麗な色のは初めて見たって意味だッ』

いつもの調子で怒鳴ってから、酷く恥ずかしいことを言ったのだと自覚して赤くなったのを今でも覚えている。
それと同時に、柱間が悪戯っぽい顔で真っ赤になり俯くマダラの下肢に手を伸ばし、睾丸の皮を摘んできたことを思い出し、マダラの下肢をきゅん…と切なくさせる。

マダラは自分の吐き出した欲で湿った下肢に再び熱が灯るのを感じ、両脚を擦り合わせた。
隣には何も知らないイズナが眠っている。

(これ以上は駄目だ…だめ…っ)

駄目だと思うのに、こればかりはどうしても止められない。
いつからだろう、こんな風に俺が柱間を思って人知れず自慰に耽るようになったのは。

柱間とあの河原で別れた頃はこんなんじゃなかったのに…。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


あの河原で柱間と決別したあとも、暫くは柱間と俺の体格に目立った差はなかった。しかし12に差し掛かった頃から、俺と柱間の間に目に見えて体格差がでてきた。

それまでトントンだった身長と横幅が、見るたびに俺を上回り、明らかに柱間の方が大きいと判るほどに俺たちに開きが出たのだ。
忍術は鍛錬で成長しても、身体の成長だけは鍛錬ではいかんともし難いものだった。
まだ未熟な俺たちが前線でぶつかり合うことは少ないが、それでも写輪眼を開眼した俺は小隊を任されることもあり、戦場でしばしば柱間の姿を見かけるのだ。
そしてその度に、俺の心は小さく疼いた。

あの頃の柱間より、ひと回りもふた回りも大きくなった柱間の姿に、俺は胸の疼きを覚えたのだ。



柱間を思うと、ズン…と下腹のあたりが重くなる。疼くような、切ないような、落ち着かない気持ちになり、程なくして俺は誰に教えられるまでもなく己の下肢に手が伸びるようになっていた。

最初はただ優しく包み込むように、眠る前に気を落ち着けるように握っていた。もちろんそんなところに手を伸ばすなどという破廉恥な行いを、隣で眠るイズナに知られぬよう、イズナが眠りについたのを確認してから、こっそりと手を伸ばすようにしていた。
だがそうこうしているうちに、どうにも握り込むだけでは焦れったくなり、強く握りしめてみたり、時には虐めるように擦ってみたりと…。そんなことを繰り返すうち、とうとうその日が来てしまった。

その日、俺はどうしても自分を抑えることができず、激しく己を擦り上げ、ついには柱間の名を呼びながら先端を強く引っ掻いてしまったのだ。
その瞬間、雷遁をくらったかのような衝撃が全身を駆け抜け、俺は下肢から透明でベタベタとした液体を吐き出していた。

これが「精通」であることを俺は知識として知っていた。
本来なら然るべき手順を踏み、「筆下ろし」という形で迎えるはずのものであることも知っていた。

13になったばかりの俺は、下の毛も生え揃わぬうちから淫蕩に耽ってしまったのだ…。
己のしでかしたことに恐れ慄き、俺は布団の中で丸まって一人震えていた。

俺の身体はまだ未熟で、白い物こそ出てこないが、こんなことを繰り返していたらどうにかなってしまうのではないか?
こんなことが親父にバレたらどうする?

不安に苛まれながら、しかし眠る前の日課となってしまった下肢への戯れを止めることもできず、俺はこの日を境に、数日と間を置かず、柱間を思いながら自慰に耽ることになるのだった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


【イズナ】

暗闇の中、息を潜めて兄さんの背中を見ている。
僕に背を向けて横になっている兄さんはソレに夢中で気が付かない。

それでいい。
その方がいい。

僕は兄さんが僕に隠れて何をしているのかを知っている。兄さんは布団の中で、口に出しては言えないようなことをしているのだ。

時たま聞こえてくる熱い溜息のようなものが、僕の身体をカッと熱くさせる。

掛け布団が兄さんの動きに合わせてモゾモゾと動いている。
いつからだろう…兄さんがソレをし始めたのは。もしかしたら僕が気付かなかっただけで、ずっと前からしていたのかもしれないし、まだ最近のことなのかもしれない。

だってソレは大人にならないとできない事だから。

そして僕は、兄さんが大人になる事を恐れている。
僕を置いて大人になってしまう事を恐れている。

大人になったら兄さんと僕は別々の部屋になってしまうのだ。
いいや、それだけじゃない。兄さんが大人になった事がバレたら、兄さんは女の人を抱かなければならない。
兄さんが僕から離れて行く事を、僕は酷く恐れていた。

だから誰にもいわない。
誰にも言わなければ、まだ当分は、兄さんは僕だけのものだから。

だから僕は暗闇の中、兄さんの背中を黙って見ている。
息を潜めながら…。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


兄さんの秘密を覗き見るようになって一年が過ぎた頃、僕は兄さんのソレが「自慰」と呼ばれていることを知った。
そして兄さんが性的にマイノリティーである事も同時に知った。

とても興奮した。
だって兄さんは、僕と同じ子供のような性器のまま、変声期前の少し高い柔らかな声で啼くのだ。
兄さんを僕の手で射精させてみたいと思った。

8つの子供がこんなことを考えているなんて、父様が知ったら卒倒しそうだが、僕は自分が兄さんを性的な対象として見ていることを自覚したその時から、人の腹の下三寸の話に興味を持つようになったのだ。
そこで得た知識から導き出すに、通常、男子というものは12、3歳で下の毛が生え、14で精通し、15で声変わりが始まり夢精もするようになるらしい。
だが極少数であるが、無毛のまま精通を迎えるものもいるらしい。

兄さんがまさにコレである!

ちなみに、こういう子供は稚児趣味の大名には大層人気なのだそうだ。つまり僕が兄さんの秘密を黙っていた事で、兄さんの身は守られたという事だ!

だが大名もいい趣味をしている。
精通した毛の生えていない変声前の美少年が、身悶えして達する姿が好きだなどと…。

しかしその姿を兄さんに置き換えて想像した時、僕の下肢は幼いながらも確かに強く脈打ち、その存在を主張するのだ。

兄さんが欲しい…と。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


出来心だった。
我慢できなかった。

だって匂ってきてしまったのだ。
微かにだが、栗の花のような香りが。

こんなことは初めてだ。兄さんの出す精に匂いなど、今までなかったというのに…。

もしかして、兄さんは本当に「大人」になってしまったのだろうか。



自慰に夢中になる兄さんの隙をつくのは簡単だった。
そっと布団の中に入り込み、僕に背を向けて横たわる兄さんの背中に抱き着いた。同時に利き手を兄さんの下肢へと伸ばし、荒い息を吐く耳元へと囁く。

「兄さん…これなぁに?凄くベタベタしてる」

初めて触れた兄さんの下肢は、吐き出したものでぬるつき熱かった。潜り込んだ布団の中も、兄さんの発する熱い吐息と同様に熱く湿っていた。

「…ぃずな!」

驚きのあまりひっくり返った兄さんの声に、僕は思わず笑いが込み上げる。

「なぁに兄さん、変なの〜」

クスクス笑いながら、声を潜め、誰にも聞かれぬように小声で囁く。

「濡れてるね。漏らしちゃったの?」

幼い弟の無邪気な言葉を、兄さんはどう捉えたのだろう。
できたら僕の気持ちに気付いてもらいたい。そんな思いを込めて、僕は小さな手で、兄さんの性器を強く握りしめた。

「ひっ…!」

僕が夢見ていた可愛い声で兄さんは啼いた。そして苦痛を訴えた。
あぁ、夢のようじゃないか!

幼い僕の身体に疼くような甘痒い衝撃が走る。聞くところによれば、幼児でも来たるべきその時に備えて、精子は作られているらしい。僕の年では自慰による射精すら無理な話しだが、それでも僕の身体は確かに兄さんに感じていたのだ。

「兄さん…」

初めて感じた確かな衝動に、僕は早鐘を打つ心臓を落ち着けることもせず感情のまま兄さんの背中に強く自分を押し付けた。
すべては本能ゆえの行動だ。未発達の心と身体でも、僕は確かに兄さんを愛している!

「やめろイズナ!」

なのに兄さんは思いがけず秘密を僕に見られたことへの動揺か、僕を振りほどくように布団から飛び出し、勢いのまま障子を開け放つと廊下へ駆け出してしまった。
まだ8つである僕にとって闇に包まれた廊下は空恐ろしく、兄さんを追いかけることができなかった。
だが少しして開け放たれたままの障子から、微かに父様の声が聞こえてきた。次いで兄さんの声も…。

どうやら兄さんの秘密は、父様の知るところとなったらしい。

僕は置き去りにされた布団の中で、自分の軽はずみな行動を後悔した。
兄さんはどうなってしまうのだろう…。
不安と悲しみで、僕は闇への恐怖も忘れ、布団から飛び出し二人の元へと駆け出していった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


「兄さん、まだ女の人を抱いたりしないよね!?」

マダラの成長に真っ先に難色を示したイズナを、父であるタジマはどう思ったのだろう。兄離れできない幼い弟、とでも思ったのだろうか。実際のところ、イズナのマダラへの執着は、そんな領域を超えていた。

「本来ならば、13、4で色街の女人に筆下ろしを頼んで大人にしてもらうのですが…。まさか陰毛が生える前に精通を済ませていたなんて」

タジマはどこか戸惑ったように言葉を続ける。
真夜中、乱暴に開けられた障子の音と慌ただしい足音に、忍一族の長である彼は異変を察知し即座に飛び起きた。
しかしそこで目にしたものは、乱れた寝間着姿のまま下肢を汚す長男で、彼はことの次第をみなまで言わせず理解したらしい。
タジマにもかつて兄弟がおり、似たようなことはどこの家庭でもあったのだろう。

激しく動揺し、羞恥に狼狽えるマダラに、まずは身体を清めてくるよう促し、そのままイズナを連れて自室へと引き返す。そして幼いイズナを座らせて「男の因果」というものを説明したのだった。

「あの子は他の子より身体の成長が遅いとばかり思っていたんですがねぇ」

父の言葉を受け、イズナは「兄さんの背が、他の子より低いから?」と訊ねた。

「端的に言えばそうです。しかしそれだけではない」

陰毛は見てわかりますが、精通はしないとわからないのですよ。いつ自分が大人になったのか気づくタイミングがあるとすれば、大抵の場合は「無精」なのです。その頃には当然、陰毛も生えている。
だから筆下ろしは往々にして陰毛が生えたあとに行うものなのです。

「大人の側が頃合いを見計らってね」とタジマは締めくくった。
その言葉にイズナは、父が自分たちの「忍」としての成長だけでなく「人」としての成長をも見ているのだと悟り背筋が冷たくなった。

(僕の気持ちを父様に悟られてはいけない…。もしそうなったら、絶対に父様は、僕と兄さんを引き離す!)

膝の上に乗せた両の拳に、ぎゅ…と力がこもる。
幼いイズナは、この時すでに「恋」というものを知っていたのだ。そして同時に、いつか自分にもその「頃合い」とやらがやってきて、嫌が応もなしに女をあてがわれるのだと悟った。

(そんなの…僕はイヤだ。初めての相手は兄さんがいい!)

その日を境にイズナのマダラへの思いは、より一層強くなったのだった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


【マダラ ニ】

イズナと父に自分の浅ましい秘密を知られたその晩から、早速、マダラはイズナと部屋を別けられた。
新しい部屋は広く冷たく、マダラは一人、身を縮こまらせ己の情けなさに涙した。


いくら身を清め新しい寝間着に着替え、形ばかり整えたところで、父であり一族の長でもあるタジマに、己の浅はかさ、淫蕩さ、立場をわきまえぬ不心得さが看破されたことに変わりはない。
庭にある井戸水を使い、何度も何度もしつこいくらいに汚れた己の身体を洗い流した。最後には身体が冷え切り震えが走るほど、マダラは自分の身体を清め続けた。

この汚れと一緒に、自分の堪え性のない淫蕩さも消えてなくなればいいのに…。そんなことを思いながら涙した。

柱間を思いながら自身を慰めるなど、一族の長の息子である己がしていいことなどではなかったのだ。
分かっていながら止められなかった。
まさか柱間との決別の後にこんな置き土産があるなど想像もしていなかった。

さすがにマダラが何を思い自身を慰めていたかなど、父であるタジマにも分かるまい。しかし誰に知られずとも、その事は自分自身が一番よくわかっている。
父の部屋に呼ばれ、イズナと並んで座っている間も、マダラは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。何も知らないイズナの不安げな瞳に晒され、冷静に事を判断する理知的な父の瞳に晒され、マダラは消えてしまいたい…とさえ思った。

「そんなに落ち込まないでください。成長自体は喜ばしい事なのですから」
「はい…」

いつにないマダラの殊勝な態度に、タジマは言葉を和らげたが、それがまた一層マダラの心を傷付けた。

(俺の命より大切なイズナや、父さん。果ては一族まで裏切った。俺はサイテーだ…っ)

マダラはその日以降、切迫した事情がない限り己の下肢へと手を伸ばす事をやめた。
優秀な遺伝子は後世へ受け継がれなければならない。それが一族のためであり、大人になった自分の責務でもある。
父のように妻を娶ることはないかもしれないが、せめて一族の繁栄のためにも己から吐き出される白濁を無駄にすることはできない。

世は戦国。
いくらうちはの才に愛された自分だとて、明日をも知れぬ命なのだ。

(もう二度と、俺は誰のことも裏切らねぇ…)


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


あの日からどれだけの時が流れただろう…。

遅れていたマダラの性徴も、あの日から2年ほど経ち変声期を迎える頃には、人並みに下生えも茂り女の元へ通うようになった。
イズナは真夜中に出かける俺の背中を、物言いたげに恨みがましく、それでいて切なげに見つめてくるが、そのくせ自分の夜遊びには鷹揚なのだから困ったものだ。

「そんな顔をするな…。明け方前には戻るさ」
「そう…」

父が亡くなり、今では俺が一族の長だ。
イズナが長である俺を目当てにやってくる女たちの夜這いを蹴散らしていることを俺は知っているが、敢えて黙っている。
この弟は幾つになっても兄離れができないのだ。それが例え一族の長であったとしても。

ふくれっ面の頬を撫で、額を小突いてやる。

「いってくる」
「いってらっしゃい」



今年の冬には、俺にとって二人目の子供が生まれる予定だ。
柱間の元にはもう何人も一族の女に生ませた子供がいるという。
もしかしたら、俺が手にかけた子供らの中に、柱間の子も混ざっていたかもしれない…。

ふと…遠いあの新緑の日々を思い出し、俺は少し、胸が疼いた。

無邪気さも、共に見た夢も、とうに失ってしまった。
あの日の決別が、あの夜の決断が、どうが無意味なものになりませんように。

いまだ胸に燻りつづける思いから目を逸らし、俺は夜道を女の家へと急いだ。


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