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銀魂のヅラのお話。
軽く銀桂要素があります。
タイトル通りの内容
軽く銀桂要素があります。
タイトル通りの内容
真面目な話、俺は人妻が好きだ。
理由なんて自分でもわからない。ただ生まれて初めて下半身に違和感を覚えたのは、近所の若く美しい人妻に「あら、偉いわねぇ」と褒められながら頭を優しく撫ぜられたときのことで、俺はその日以来、彼女の元へ足繁く通っては愛想を振りまき「小太郎ちゃんは良い子ね」と褒められることに満足感を得ていた。
そしてある日、俺は見てはいけない現場を目にし、それをオカズに精通を迎えてしまうことになる。
彼女は「人妻」で「夫」がいるのだ。
二人が昼日中から睦みあっていたのには、さすがに驚いたが、嫌悪感などは一切抱かなかった。
むしろ日の当たらない薄暗い部屋で行われていたソレに興奮し、俺はいよいよ自らの下半身に起こった違和感が何であるのかを明確に理解するに至った。
俺は人妻に欲情していたのだ!
身も蓋もない言い方だが致し方あるまい。まだ幼く、口吸いすらしたこともなかった俺は、しかし「人妻」という生き物に明確な興味を示していたのだ。
いや実に恐ろしい…。
何が恐ろしいって、幼いながらに自らの一生を左右しかねない性癖に早々に辿り着いてしまうという(銀時にいわせれば単なる変態らしいが)その正直さが恐ろしい!
そう、俺は末恐ろしい子供であったのだ…。
今にして思えば当時の俺は、ある意味では銀時以上に爛れていたといえる。
なぜなら銀時が爛れたのは女を知ってからだが、俺は幼少期から爛れた恋しかしていないのだから銀時以上に爛れていたのだとしか言いようがない。まぁ、このことを誰かに告げるつもりは無いのだが…。
ちなみに「爛れた」とは精神的なことであって肉体的なことではない。俺は人妻好きだか、実際に人妻に手を出したことはないのだ。
いまとても重要なことを言ったのだが、ご理解いただけだだろうか?
俺は人妻が好きだが、人妻とどうこうなったことはないのだ。
理由は簡単だ。
人妻には「夫」がいる。
つまり人妻は既に人のものなのだ。それに手を出すということは人の道に反する。
俺がそんなことをするはずがない。
ではなぜ実りのない「人妻」という生き物が好きなのか…。
それは恐らく刷り込みのようなものなのだ。
俺の精通は人妻と夫の情事を目にしたときだった。
俺の初めての夢精は人妻とその夫の情事を夢に見たときだった。
そして俺の初めての自慰のオカズもまた、人妻と夫の情事であったのだ。
俺の身体を駆け抜けた快感の全てが人妻と夫に起因しており、人妻だけでも夫だけでも快感は成立しないのだ。
そしてその事実に幼いながらに気が付いた俺は自らがNTR属性であるということに早々に気づいてしまった。
気付いてしまったらもう止まらない。
俺の恋愛対象は「人妻」で、人妻と夫が「致す」ことに興奮し快感を得る…そのエンドレスリピートだ。
俺の恋は決して実らない。実らないことを前提とし、寝取られることを前提として始まるのだ。
だがそんな俺が「未亡人」に恋をした。
それは十代も半ばの頃であった…。
俺は自らの思いに軽く混乱した。
「未亡人」も広い意味では「人妻」だ。だが夫を亡くしている以上、俺の興奮と快感を刺激する「好きな人を寝取られる」という肝心の部分が成立しない。
(俺はなぜこの人を好きになったのだろうか…)
仏壇に手をあわせる未亡人の背中を見つめながら俺は自問した。
夫を亡くし一人で暮らす未亡人の家に、俺は何かと理由を見つけては上がりこんでいた。銀時たちと魚を釣ればその魚を届けに行き、飯を多く炊いたときはそれを理由に握り飯を届けにいった。農作物の収穫期には「男手がいるだろう」と押しかけたり、通り雨が降るときは雨宿りを理由に顔を出した。
とにかく何でもいいから理由を見つけて押しかけていた。
そろそろこの未亡人も俺の気持ちに気付いているだろう…。
夕立の雨音を聞きながら、未亡人はいつもより少しだけ長く仏壇に手を合わせていた。そしてその日、俺は未亡人と褥を共にした。
翌朝、日の出とともに未亡人の家を後にした俺は自らの中に答えを見出したような気がして、見送る彼女の顔を見ることができなかった。
俺が彼女に向けていたのは人妻に対する恋愛感情ではなく、銀時たちが遊女たちに向けるのと同じ「性欲」だったのだ。
俺は自分のことを聖人君子などと思ったことは一度たりともない。俺が銀時たちのように年頃になっても遊郭へ行かないのは、貧乏ゆえに金で売られてきた女子たちを抱く気になれなかったからであって、俺自身に性欲がないわけではないのだ。
つまり俺は今回、あの未亡人のことを欲望の捌け口としてみていたのだ。
松陽先生や銀時たちと暮らす家に向かう道すがら、俺はがらにもなく深く深く肩を落とし俯き加減に歩き続けた。
(酷いことをした…)
あの未亡人は勘違いしたかもしれない。年下の男から好意を寄せられていると思ったかもしれない。だとしたら大変申し訳ないことをした。
その日を境に、俺が彼女の元へいくことは二度となかった。
ただ風の噂で彼女が再婚したと耳にしたとき、遠目にでもいいから彼女の姿を見てみたい…と思った。
男というのは、まったくもって馬鹿ばかりだ。
もちろん、自らへの戒めとして、俺は彼女に二度と近づいたりなどしなかった。
…というより、既に別の人妻との新しい恋が始まっていたのだ。
まったくもって男という生き物は馬鹿ばかりだ。
そんなこんなで新しい恋にうつつをぬかし、やがていつも通り恋が終わり、恒例のように俺が落ち込んでいると珍しく真面目そうな顔をした銀時が声をかけてきた。
「なぁ…もうそんな不毛なことはやめてよぉ…オレにしとかねーか?」
真面目な顔をした銀時の瞳は、しかし相変わらず死んだ魚のような目をしていた。そんな瞳に見つめられながら俺はしばし考えてみる。
銀時はこれで何気に察しがいい。もしかしたら先の未亡人と俺の間にあったことを察し、それを含めての言葉なのかもしれない。実際、銀時にこんな風に声をかけられ諌められたのは初めてだ。
だがそうはいっても、やはり男というのは馬鹿な生き物で…
「そうだな…。お前が人妻で、晋助か松陽先生とデキていたら、イケないこともないな」
「おまえホント重症だな…」
一つ大きく溜息をつき、銀時はそれっきり俯いて口をきかなくなった。
俺は俺で失った恋を悼み、それきり会話をしなかった。
夕暮れ時、縁側で肩を並べて俯く俺たちを、初夏の風が優しく撫でて行った。
理由なんて自分でもわからない。ただ生まれて初めて下半身に違和感を覚えたのは、近所の若く美しい人妻に「あら、偉いわねぇ」と褒められながら頭を優しく撫ぜられたときのことで、俺はその日以来、彼女の元へ足繁く通っては愛想を振りまき「小太郎ちゃんは良い子ね」と褒められることに満足感を得ていた。
そしてある日、俺は見てはいけない現場を目にし、それをオカズに精通を迎えてしまうことになる。
彼女は「人妻」で「夫」がいるのだ。
二人が昼日中から睦みあっていたのには、さすがに驚いたが、嫌悪感などは一切抱かなかった。
むしろ日の当たらない薄暗い部屋で行われていたソレに興奮し、俺はいよいよ自らの下半身に起こった違和感が何であるのかを明確に理解するに至った。
俺は人妻に欲情していたのだ!
身も蓋もない言い方だが致し方あるまい。まだ幼く、口吸いすらしたこともなかった俺は、しかし「人妻」という生き物に明確な興味を示していたのだ。
いや実に恐ろしい…。
何が恐ろしいって、幼いながらに自らの一生を左右しかねない性癖に早々に辿り着いてしまうという(銀時にいわせれば単なる変態らしいが)その正直さが恐ろしい!
そう、俺は末恐ろしい子供であったのだ…。
今にして思えば当時の俺は、ある意味では銀時以上に爛れていたといえる。
なぜなら銀時が爛れたのは女を知ってからだが、俺は幼少期から爛れた恋しかしていないのだから銀時以上に爛れていたのだとしか言いようがない。まぁ、このことを誰かに告げるつもりは無いのだが…。
ちなみに「爛れた」とは精神的なことであって肉体的なことではない。俺は人妻好きだか、実際に人妻に手を出したことはないのだ。
いまとても重要なことを言ったのだが、ご理解いただけだだろうか?
俺は人妻が好きだが、人妻とどうこうなったことはないのだ。
理由は簡単だ。
人妻には「夫」がいる。
つまり人妻は既に人のものなのだ。それに手を出すということは人の道に反する。
俺がそんなことをするはずがない。
ではなぜ実りのない「人妻」という生き物が好きなのか…。
それは恐らく刷り込みのようなものなのだ。
俺の精通は人妻と夫の情事を目にしたときだった。
俺の初めての夢精は人妻とその夫の情事を夢に見たときだった。
そして俺の初めての自慰のオカズもまた、人妻と夫の情事であったのだ。
俺の身体を駆け抜けた快感の全てが人妻と夫に起因しており、人妻だけでも夫だけでも快感は成立しないのだ。
そしてその事実に幼いながらに気が付いた俺は自らがNTR属性であるということに早々に気づいてしまった。
気付いてしまったらもう止まらない。
俺の恋愛対象は「人妻」で、人妻と夫が「致す」ことに興奮し快感を得る…そのエンドレスリピートだ。
俺の恋は決して実らない。実らないことを前提とし、寝取られることを前提として始まるのだ。
だがそんな俺が「未亡人」に恋をした。
それは十代も半ばの頃であった…。
俺は自らの思いに軽く混乱した。
「未亡人」も広い意味では「人妻」だ。だが夫を亡くしている以上、俺の興奮と快感を刺激する「好きな人を寝取られる」という肝心の部分が成立しない。
(俺はなぜこの人を好きになったのだろうか…)
仏壇に手をあわせる未亡人の背中を見つめながら俺は自問した。
夫を亡くし一人で暮らす未亡人の家に、俺は何かと理由を見つけては上がりこんでいた。銀時たちと魚を釣ればその魚を届けに行き、飯を多く炊いたときはそれを理由に握り飯を届けにいった。農作物の収穫期には「男手がいるだろう」と押しかけたり、通り雨が降るときは雨宿りを理由に顔を出した。
とにかく何でもいいから理由を見つけて押しかけていた。
そろそろこの未亡人も俺の気持ちに気付いているだろう…。
夕立の雨音を聞きながら、未亡人はいつもより少しだけ長く仏壇に手を合わせていた。そしてその日、俺は未亡人と褥を共にした。
翌朝、日の出とともに未亡人の家を後にした俺は自らの中に答えを見出したような気がして、見送る彼女の顔を見ることができなかった。
俺が彼女に向けていたのは人妻に対する恋愛感情ではなく、銀時たちが遊女たちに向けるのと同じ「性欲」だったのだ。
俺は自分のことを聖人君子などと思ったことは一度たりともない。俺が銀時たちのように年頃になっても遊郭へ行かないのは、貧乏ゆえに金で売られてきた女子たちを抱く気になれなかったからであって、俺自身に性欲がないわけではないのだ。
つまり俺は今回、あの未亡人のことを欲望の捌け口としてみていたのだ。
松陽先生や銀時たちと暮らす家に向かう道すがら、俺はがらにもなく深く深く肩を落とし俯き加減に歩き続けた。
(酷いことをした…)
あの未亡人は勘違いしたかもしれない。年下の男から好意を寄せられていると思ったかもしれない。だとしたら大変申し訳ないことをした。
その日を境に、俺が彼女の元へいくことは二度となかった。
ただ風の噂で彼女が再婚したと耳にしたとき、遠目にでもいいから彼女の姿を見てみたい…と思った。
男というのは、まったくもって馬鹿ばかりだ。
もちろん、自らへの戒めとして、俺は彼女に二度と近づいたりなどしなかった。
…というより、既に別の人妻との新しい恋が始まっていたのだ。
まったくもって男という生き物は馬鹿ばかりだ。
そんなこんなで新しい恋にうつつをぬかし、やがていつも通り恋が終わり、恒例のように俺が落ち込んでいると珍しく真面目そうな顔をした銀時が声をかけてきた。
「なぁ…もうそんな不毛なことはやめてよぉ…オレにしとかねーか?」
真面目な顔をした銀時の瞳は、しかし相変わらず死んだ魚のような目をしていた。そんな瞳に見つめられながら俺はしばし考えてみる。
銀時はこれで何気に察しがいい。もしかしたら先の未亡人と俺の間にあったことを察し、それを含めての言葉なのかもしれない。実際、銀時にこんな風に声をかけられ諌められたのは初めてだ。
だがそうはいっても、やはり男というのは馬鹿な生き物で…
「そうだな…。お前が人妻で、晋助か松陽先生とデキていたら、イケないこともないな」
「おまえホント重症だな…」
一つ大きく溜息をつき、銀時はそれっきり俯いて口をきかなくなった。
俺は俺で失った恋を悼み、それきり会話をしなかった。
夕暮れ時、縁側で肩を並べて俯く俺たちを、初夏の風が優しく撫でて行った。
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