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合理的で理論的ではあるが、それを上回る感情豊かな扉間と、基本、扉間を殴って黙らせるイズナの話。





【はじまりの告白】

「イズナ、オレはお前に好意を持っている。運命などという不確定なものは信じぬが、オレのDNAがお前を求めているのだ!!」

扉間から実に腹立たしい告白を受けたのは、里ができて直ぐの事だったと記憶している。

「僕は別にお前のことなんて求めてないんだけど」
「なぜだ、お前にとっても喜ぶべきことではないか」

昼日中、公衆の面前で呼び止められ、こんな話をされるとは夢にも思わなかった。しかも僕たちは神代の時代から宿敵同士の一族なのだ。

「どうして僕がお前を好きになると思うんだよ…」
「それは当然だ。オレはお前より顔も頭もいい。ついでに収入も社会的地位も上だし、お前がオレに好意や敬意を持ってもなんら不思議ではない」


「よし、殴らせろ!」
「まさかお前…オレに嫉妬しているのか?」

僕が扉間を殴り倒したのはいうまでもない。

「殴らせろぉおお!!」
「落ち着けイズナ!戦争は終わったんだぞ!?」
「僕とお前の決着はまだついてねぇんだよ!!」


・:*三☆・:*三☆・:*三☆



【二度目の告白】

「今度はいったいどういう根拠で僕が君を好きになるって思ったわけ?」
「兄者とマダラだ」

兄者はマダラのことが好きだ。
だがマダラは実際のところ疑り深く内向的で社交性のかけらもない人間だ。そんな人間が恋などできると思うか?
マダラは、兄者がマダラのことを好きだから、兄者を好きになれたのだ。
つまり根暗で愛情に飢えた男が、確証の持てる相手に好意を示しただけにすぎん。

「人間関係は合わせ鏡だというだろう?それだ」

いつもの要領で腕を組み、自分の語りに自分で大きく頷きながら、扉間はそう締めくくった。
なるほど、身近な事例で分かりやすく攻めてきたか…。

「つまり、その理論でいくと僕もお前を好きになると踏んだわけか」
「今回は心理学的観点から確信を持った!さぁこい、イズナ!」
「よしわかった、じゃあエンリョなく行かせてもらうッ」

僕が扉間を殴り倒したのはいうまでもない。

「死にさらせ、扉間ァアアア!!!!」
「なぜだ!!?」


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


【三度目の告白】

「危険な状況でこそ、愛は燃え上がる…か」

この世には「吊り橋効果」というものがある。恐怖によるドキドキと、恋愛のトキメキを錯覚してしまうというアレだ。危険な状況下で出会った2人は、そのドキドキを錯覚してしまうため、恋に落ちる可能性が高くなる。
そう…兄さんと柱間もコレに当てはまると言えるだろう。

そしてもう一人。勝手に一人で吊り橋効果を体験している馬鹿がいる。

「文化人類学的に考えると、いまのオレとお前の距離感は関係性の発展を意味しているといえる」
「それは勘違いだと思うね。だって僕に壁ドンしたお前は、例に漏れず、いつものようにボッコボコになって床に這いつくばることになるからさ」

そして今日もまた、僕の拳が扉間の顔面に減り込むのだった。

「うゲフッ」


・:*三☆・:*三☆・:*三☆


【4度目の告白】

「そんなにダメか!?」
「ダメに決まってんだろ!!僕の側には全くもって恋愛感情なんてない!1ミリもないッ」

僕の言葉に一瞬神妙な顔になった扉間だったが、そこは所詮、扉間だ。
この後、僕はこの男の両目を潰しにかかることとなる。

「気になる存在に会うと、人間は瞳孔が通常より大きくなる…。つまりオレのこの瞳孔こそが、オレの真実を物語っているということだ」
「どうこう?」

言われて気づいたのだが、扉間の瞳は信じられないくらい瞳孔が開いていた…。
まるで獲物を狙う猫のように。
女の裸を見たときの男のように。

「ギャーーーー!!!!」

僕が扉間に目潰ししたのは言うまでもない。

「目が…目がぁあああーーー」


・:*三☆・:*三☆・:*三☆



【5度目の告白】

扉間が「囮役はもちろんオレがいく!お前は逃げろ」なんて言い出すから、僕は激しく動揺している。
悪いものでも食べたのか?
どこかで頭を打ったのか?
あるいは全てが計画通りで、この現況においては、囮になることこそが唯一の生存ルートなのか!?

(わからない!扉間のことがわからない!!)

「もう何が正しいのかわからない!!」
「落ち着け!これは善意だ!打算でも里のためでもない、オレのお前に対する思いの表れだ!」

そんなことを扉間とゴチャゴチャやってる間に逃げるタイミングを失い、結局、僕たちはいつも通り、互いの背中を預け合い戦うことになったのだった。

「こんなことならお前を置き去りにして逃げればよかった!!」
「その通りだ!お前が逃げてくれれば、お前に仕込んでおいた飛雷神が役に立つと思ったのに!」
「やっぱり善意じゃないじゃないか!!嘘つきッ」
「うるさい!!お前もオレも助かる最良の道だ、今からでも逃げろっ」

この後すぐ兄さんたちが駆け付けてくれたおかげで僕たちは死なずに済んだが、今でも僕は扉間のことを怨んでいる。

なにが「オレのお前に対する思いの表れだ」だ!一瞬でも信じた僕が馬鹿だった。
これにより僕の飛雷神恐怖症が悪化したのはいうまでもない…。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆



【6度目の告白】

最近、扉間のやつが妙に手をアピールしてくる。確かに大きくて男らしい手ではあるとは思うが、だからなんだというんだ…。
あまりにウザかったから、食事時にわざとらしく目の前に伸びてきた手を、持っていた箸で刺してやった。

「ごめん、漬物と間違えた」
「そ、そうか…気にするな」

実はな、発生の過程で、指と生殖器は同じhox遺伝子から作られているんだ。
つまり指が長くシンメトリーな美しい手を持つ男は雄として優秀である可能性が高いというわけでだな…

「興味ない」
「そ、そうか…」


・:*三☆・:*三☆・:*三☆



【「好き」に理由は存在しない】

「好き・嫌い」という感情は原始的な脳である大脳辺縁系の扁桃体という部分で判断されている。そして、あとからこれの理由付けを行っているのが、理性そのものである大脳新皮質だ。
ようするに「好き・嫌い」という感情は、本人の意思とは無関係に理性レベルで操作できるものではないということだ。

だから「イズナのどこが好きなのか」と聞かれても答えようがない。逆に答えを持っている方が怪しいのだ。

なのに今日に限ってイズナはらしくないことを尋ねてくる。

「一応聞くけど、僕のどこが好きなの?」
「理由などない。強いて言うのであれば『定め』だ」

多くの人間は否定するだろうが、性格・物欲・社交性・運動神経、加えて性行動に至るまで、ほぼ遺伝で決まることが科学的に結論付けられている。これらは胎児期に作られる脳の配線でほぼ決定されているのだ。

「ならばオレがイズナを好ましく思うのもまた生まれながらの定めといえる。違うか?」
「それ完全に片思いだからね!そもそも頭と顔以外、良い要素がまるでないお前を好きになれるわけがないだろ!?」
「そこまで否定するのか!?」
「当たり前だろ!普段のお前の行いが、お前の長所すら全力で否定してるんだよ!!」
「そんなにか!?」

そんなになのか!!!

イズナの拳が飛んでくる前に、オレは膝から崩れ落ちたのだった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆



【初恋よ永遠に!!】

キスした瞬間、相手の唾液成分はただちに脳へ送られる。

健康状態は良好か?

免疫系の相性はよいか?

遺伝的な近親性はないか?
問題なしとなれば、視床下部が快感物質のドーパミンを出すよう指令を下し、これがA-10神経を興奮させ、快感を覚えるという仕組みになっている。


「この間わずか1秒だ。たった1秒我慢するだけで、お前はオレから解放される!」
「だからって、なんで僕がお前とキスしなきゃならないのさ!馬鹿なの!?」
「オレは本気だ!」

なにか1つでも問題があれば、 脳はコルチゾールというストレスホルモンを発生させ、個体に不快感を与える。

「もしそれが出たら、オレは涙を飲んでお前を諦める!」
「そう…。ならキスするまでもないよ。だって僕は、あの河原で初めてお前に会ったときからストレスホルモン出まくりだもん」

「そん…な…」

膝から崩…割愛

「でも相棒としてならストレスホルモンでてないから安心しなよ。たまに殺意が湧く時あるけどね!」

笑いながらオレを見るイズナはやはり可愛く、その笑顔に触発されオレの脳の報酬系はドーパミンを大量に放出し、傷心のオレの胸を痛いくらいにときめかせるのであった。

(これが『恋』か!!くそっ)


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