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誕生日の10日前にイズナと意識が入れ替わってしまった扉間のお話(。´A`)

イズナ「もう直ぐお前の誕生日なんだけど…」
扉間「」

「いつになったら戻るんだろうね…」扉間の頭ナデナデ





オレの名は、千手扉間。
夢も希望も見いだせぬ戦国時代にあって「愛の一族」と言われるほど慈悲深い「千手一族」の族長補佐にして、「木の葉の里」里長の補佐役だ。
つまりエリートというやつだな。

おい、お前…少しばかり頭が高いぞ、控えろ。

ちなみにオレは今、人生最大のピンチに直面している。
そのピンチというのは、我が千手一族の天敵にして戦国最狂のマジキチ集団「うちは一族」の族長補佐にして、オレの好敵手であった男、うちはイズナが引き起こしたものなのだが…。

かれこれこのピンチ6日程続いていたりする。

そして今日はバレンタイン。地獄を見なければいいのだが…


【バレンタイン】

オレとイズナが入れ替わって四日目の朝、オレはイズナからある頼まれ事をしていた。
曰く「僕の代わりにチョコレート買ってきてよ」

季節柄、そのチョコが何を意味するのか分かっていたオレは、当然、そのチョコの使用目的を問い質した。
当たり前だ。オレ買いに行くんだぞ!??

この「オレ」が!!

「なぜ男の貴様がチョコなど買う必要性がある」
「何でって…そんなの簡単じゃん。兄さんに渡すんだよ」

一点の曇りもない澄んだ瞳(それはオレの身体で、つまりその目はオレの瞳であるわけだが!!)で、「当然じゃない」と言わんばかりに答えを返す『扉間』に、オレは返す言葉が見つからなかった。
余りにも驚きすぎて、言葉が出てこなかったのだ…。

どこの世界に、いい年した実の兄にバレンタインのチョコを渡す弟がいるというのか。
しかもその弟は、どんなに可愛い顔をしていようとも、つい先日27歳の誕生日を迎えた、紛うことなき「いい年した弟」なのである!

「それは…どうしてもマダラに渡さなければならないものなのか?」

不信感いっぱいにオレは『扉間』に問い質した。するとヤツは、オレの身体で、オレの顔で、オレの声で小首を傾げながらこう言いやがった!!

「どうしても嫌だって言うのなら、僕は別に構わないよ?扉間の身体でチョコ買いに行って、扉間の身体で兄さんにチョコ渡すだけだから」
「やめろぉおおおおおお!!!!血の雨が降るぞ、この野郎ッ」

もういい加減、この生活も6日目に突入すれば、自分自身の胸ぐら(中身はイズナだ)を掴むことにも抵抗がなくなってくる。オレはオレの身体を殴るなどという馬鹿らしいことは極力避けたいが、どうにもそうは問屋が卸してくれないのだ。

しかしこの生活で一つだけ良いこともあった。この身体で喧嘩をすると、マダラがオレの見方をしてくれるのだ。そして『扉間』に制裁を加えるのだ。

聞いていても訳が分からないだろう。安心しろ、期待はしていない。
とはいえ、説明だけはしておこう。オレの複雑怪奇なこの胸の内を…。

オレはマダラにオレの身体が締め上げられるのを、どこかで「ざまぁみろ」と思っている節があるのだ。
しかしよく考えてみろ。それはオレの身体なのだ。中身はイズナでもオレの身体なのだ!
それでもオレが「ざまぁみろ」と思ってしまうのは、ひとえにイズナのせいである。
オレはイズナのことを「  」なのに、イズナのやつはオレを「  」ではないのだ。
そしてよりによってイズナのやつはマダラのことが「  」かもしれないのだ…。

信じがたい話だが、うちは一族は大抵の者が初恋の相手と結婚するらしい。オレが『イズナ』になってから調べたところ、実に90%近くが初恋の相手と結婚していた。
この事実に驚いたオレは『扉間』をひっつかまえて問い質したほどだ。

「おまえ『初恋は実らない』という言葉を知っているか?」
「なにそれ。初恋相手とは結婚するでしょフツー」

なんという世間ズレしたこの感覚!!
どおりでマダラがいつまでも兄者に固執するわけである。おまけにいつまで経っても独身なわけである!

「戦時中は相手が亡くなることも多かっただろう。どうしていたんだ?」

言外に「このマジキチどもめ!」と匂わせつつ訊ねてみれば、「だからうちはって常に少子化なんだよね」とのこと。

それで良いのか貴様等は!!!

話を戻そう…。
つまり、信じがたいことに、矢印が一方通行なのだ(一部除く)!

図解するとこうだ。

柱間→←マダラ←イズナ←オレ

ちなみに言っておくが、名前の前後関係が必ずしもデリケートな意味で二人のポジションを表しているわけではないから勘違いするなよ、メス豚ども。

また話がズレた…。
つまりだ、オレは「大好きな兄さんに『扉間』として処罰を受けている気の毒なイズナ」を見て鬱憤を晴らしている節があるということだ!!

どこまで歪んでいるんだオレは!!!シッカリしろ!戻ってこい!!

まぁ、そんなこんなで当然のようにマダラに渡すチョコなど、このオレが買うわけもなく、今日という日を迎えたわけである。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

2月14日。オレも自分の身体のときにはそれなりにチョコを貰ったりしたものだ。もちろん、今の身体でもそれは変わらず、オレは補佐官用執務室につくまでに『イズナ』宛のチョコを五つほど貰っていた。

(気の毒にな…。こんなブラコンが初恋の相手とは、あの娘たち、一生結婚できんな)

うちはの娘から二つ、他の一族の娘から一つ。そしてなぜか男からも二つ貰ってしまい、困惑したオレは断ることもできず受け取ってしまったのだった。
イズナの本命がマダラだとしても、本人のまかり知らないところで勝手にイズナ宛のチョコを突き返しては後々面倒なことになると思ったからなのだが、これで良かったのか悪るかったのか。

イズナのことが気になるオレとしては心中複雑なところではあるが、オレからイズナにチョコを渡す予定など塵ほどもなかったため、どうでもいいといえばどうでもいい話である。

大体、一年三六五日、思いを告げようと思えばいつだって告げられるのだからして、この日に渡されるチョコにそこまでの重要性はないだろう。現に、毎年いろいろな娘たちからチョコを貰っているオレだが、それで誰かと付き合った試しもない。

今はただ『イズナ』として平穏無事に今日という日を乗り切るだけだ。

そんな思いを胸に、執務室の扉を開ければ、10日以降、『イズナ』より先に執務室にきて仕事をするのが日課となっている『扉間』が、当然のような顔をして「チョコ用意してくれた?」と朝の挨拶そっちのけで声をかけてきた。

「してない。そんなことより、お前はオレの机で何をしているんだ!!」

あろうことか、『扉間』はオレの机でオレ宛のチョコを貪り食っていたのだ!

「それはオレのだろう!お前のはこっちだ、勝手にオレ宛のチョコを食うなっ」

オレが『イズナ』で、イズナが『オレ』なのだから、イズナが今現在オレの机でもしゃもしゃと食べている茶色い物体はオレ宛のチョコということになる。にもかかわらず、イズナのやつは当然のような顔をして最後の一口を口に入れ、もごもごしながら…

「元を正せば、コレはお前の身体なんだし、お前の身体でお前宛のチョコ食べてるんだから、問題ないでしょ?」
「それはそうだが…だがしかし、中身はオレじゃない以上、渡した相手の気持ちを考えれば、他人が食べているのと同じことだろう!」

我ながら良いことを言った。毎年もらったチョコを食べることもなく兄者にやっているオレにしては良いことを言った!
だがどうやらこの一言がイズナ的には気に入らなかったらしい。

「だったらさぁ、やっぱ、僕が兄さんのために兄さん宛のチョコ買って、兄さんに渡すべきだよね?」
「だから、それをやったら血の雨がだなぁ…」

イズナはどうしてもマダラにチョコを渡したいのだ。それは痛いほどわかる。なぜなら、今朝、マダラは朝食の席で物凄く機嫌が良かったのだ。きっとイズナからのチョコを期待しているのだろう。
毎年当然のように弟から貰えるチョコを楽しみにしている兄の姿を知っているイズナにしてみれば、渡さすにはいられないのだろう。なによりイズナはマダラが好きだしな。

結局、オレはあらゆる意味で立場が弱いのだ。

イズナからのチョコをそわそわと待ちわびるマダラのことも、兄の喜ぶ姿がみたいと頑張るイズナのことも、悲しい顔をさせたくないと思ってしまう。
もし二人に悲しい思いをさせてしまったら…それは即オレの「死」を意味する。

毎年気合の入ったチョコを渡すイズナが、今年に限って板チョコを投げてよこしたらどうなるだろう。マダラのことだ、何かに感づくかもしれない…。
もし仮にマダラが『イズナ』の仕打ちに耐え忍んだとしても、イズナは黙っていないだろう。

真実を告げられたら、オレは、一体どうなってしまうのか。

うちは邸で行われたイズナの誕生日を祝う宴席で、オレはいろいろな人々から祝われ傅かれた。もし中身が「千手扉間」だったと知ったら、うちは一族総出でオレを殺しに来るだろう。

(やるしかない…っ)

オレは覚悟を決め、自分が持っているイズナ宛のチョコの中から、もっとも高価そうなチョコを一つ取り出し、「今からマダラに渡してきてやる」と財布を握りしめ立ち上がりかけた『扉間』に宣言した。

「だからお前はここで待ってろ。くれぐれもチョコなんて買いに行くなよ!ましてやマダラに渡そうなんてするなよ!!」
「うん、わかった!ここで待ってる!待ってるから早く行ってきて。兄さん、僕が作る稲荷寿司の次に、バレンタインのチョコ楽しみにしてるんだ!」

そうなのか!?
おいおい、どうなってるんだこの兄弟はッ

「危うく殺されるところだったぞ、そういう大切なことはもっと早くいえ!!」

イズナ宛のチョコを握りしめ、オレは兄者とマダラの詰めている火影の執務室へ走った。
しかしそこで待っていたのは予想もしない出来事だった。

「兄者…じゃなくて、兄さん!」
「どうした、イズナ…。何かあったのか?」
「これ、受け取ってくれ!オレからの気持ちだっ」

兎に角、コレを渡せばいいのだ。コレを!!
その一心でオレが差し出したチョコを、マダラは不思議そうに眺めながら、ぎこちなく受け取った。

「バレンタインのチョコか…。どうしたんだ急に、驚くだろう」
「え?」
「いつもはこんなことしないくせに」

すべてを悟ったオレの真横では兄者が「おぉ~、イズナ殿は友チョコならぬ兄チョコ派か~。羨ましいのぞ~」と騒いでいる。

(黙れ兄者!!貴様には毎年オレのチョコを渡してやっているだろう!!!)

チクショウ…イズナのやつ!!!

「チョコ、ありがとな。だが今は執務中だ。早く部屋に戻って仕事しろ」

マダラに軽く額を小突かれながら、イズナに恥をかかされたオレは顔を真っ赤に染めながら「申し訳ない…」と呟いたのだった。




「あ、扉間おかえり~。兄さん喜んでたぁ?」
「きっつさまぁああああ!!!!!毎年チョコを渡しているだの、兄さんが楽しみにしているだの、嘘八百並べたてやがってぇええーーーーー!!!!殺してやるッ」

「あはははははーーーーー、マジで騙されてやんの~、扉間のぶわぁああああーーーーか!!!」

もう二度と、お前のいうことなんて、信じない!!!

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