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お誕生日おめでとうヾ(*´∀`*)ノ"イズナちゃん!

(その1)のつづきのつづき




事はイズナの思惑通り順調に運んでいるかに見えた。
今日一日で『扉間』は『イズナ』のサポート役を完璧にこなして見せたのだ。これは最早、「下僕」ではなく「ナイト」のようではないか…とイズナ自身が思うほどに、それは完璧であった。

イズナの書類をイズナに代わりスマートに提出する『扉間』
イズナの移動には常に付き従い、護衛のようにイズナを守る『扉間』
昼飯だってイズナの味覚を心得た『扉間』が、彼の好物である煮物の美味い店へとエスコートし、さらに、おやつには彼の好物うちは煎餅を濃い目に入れた玉露と共にスマートかつ自然な流れで差し出した。

これらすべて、公衆の面で『扉間』が行ったことである。
まぁ、一部「やりすぎ」の自覚もあったので「イズナ様」呼びと丁寧語を改め、普段の扉間風に改変したが、これはもう、どこからどうみても力関係はイズナが上であると誰でも分かる図である!

おまけに今日は夜から、うちはでイズナの為の宴席があることを、皆、知っているため、必ず「お誕生日おめでとうございます」と『イズナ』に声がかけられる。
そのたびに微妙な顔をする『イズナ』の背にさりげなく手を添えながら、「よかったな、イズナ」と微笑みかけるのが『扉間』のブームであった。

もう面白すぎて笑いが止まらない!!

「イズナ…貴様、後で覚えていろよっ」と恨みがましい目で自分を睨む自分自身の姿(その中身は扉間だ)にさえ「美青年は何をしても似合うなぁ~」と褒めちぎってしまうほど、『扉間』は上機嫌だった。

あとは本日最大のイベントである、うちは族長の邸で行われるイズナの誕生日を祝う宴席に『千手扉間』が貢物を持参して馳せ参じれば完璧!!

その光景を目にした者は思うだろう。「千手扉間が、とうとう、うちはイズナに屈した!」と。
そしてそれはうちは一族のみならず、使者として使わされた里に住まうすべての一族の斥候によって里中に広められるのだ!!

(戦争は終わったわけではないんだよ、柱間サン。形を変え、場所を変え、今でも続いているんだ!!)

そして今夜!僕と扉間の長きにわたる戦いに、とうとう終止符を打つ時がやってきたのだ…!

僕は感動に打ち震える心をひた隠しにし、何も知らない『イズナ』を職場から宴席へと送り出した。

「僕の誕生日をみんなで祝ってくれてるんだ。ちゃんと僕の分まで、僕の代わりに楽しんできてよ」
「正直、気が進まない。しかし、ここで行かないといえば、またお前と乱闘騒ぎになるのだろうな…」

秀麗な面持ちに陰りを滲ませ、『イズナ』は少しばかり俯き脱力した。それに対し、『扉間』はイズナよりも高い位置にある顔を傾げ、『イズナ』の白い頬に手を添え囁いた。

「行かなかったらコロス。あと兄さんを悲しませてもコロス。一族の誰かに不快な思いをさせてもコロス」
「オレの顔でオレに向かってそんなこと言うな…泣きたくなってくる」

西の空に沈む夕日に照らされ、別れを惜しむように見つめ合う二人の姿は、さながら恋人同士のようであった…と、くのいち達は後に語っている。

まぁ、そんな第三者の意見はどうでもいいとして、ここからが重要なのだ!
『イズナ』を宴席へと送り出した僕『扉間』が直面した予想外の事態…。

(これは本気で予想してなかった…!!)


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

『イズナ』を見送ったあと、僕は柱間が一人残る執務室へと赴いた。イズナの誕生日を祝いに、うちはへ出向く許可を得るためだ。
いくら扉間が千手のナンバーツーとはいっても、やはり族長である柱間の許可を得たうえで堂々とうちはの門をくぐりたい。またそうでなければ『千手扉間』が貢物片手に「うちは」へ赴く意味がない!

あくまで「千手の総意」として、あわよくば「火影の名代」としての役割をもぎ取り、僕はうちはへ行く必要があったのだ。

(兄さん喜ぶぞ。なにせあの扉間が、イズナのために頭を下げに来るんだからな!)

しかし僕が上機嫌だったのも、火影の執務室の扉を開けるまでだった…。

「仕事…まだそんなに残ってるの柱間兄さん…。オレちょっとドン引きなんだけど」

一体この人は今日1日、何をしていたのだろう。そう疑いたくなるほど、机の上には未決済の書類が積まれていた。
『扉間』がイズナの書類を提出しに来たときと、さほど変わっていない書類の山に、思わず眉を顰めてしまう。

(なるほど…、これじゃあ扉間が柱間さんを怒鳴り散らすわけだ)

少しばかり扉間の気持ちが理解できた僕は、「まだ今日という日は5時間くらい残ってる。諦めず頑張れ、柱間兄さん!」と励ましの言葉を送り、本題を切り出した。

「実は、うちはの宴席に顔を出そうかと思っていてな。一応、柱間兄さんは族長だし、千手の面子というものもある。許可を得ておこうと思ったのだが、どうだろう」

兄さん大好きな柱間のことだ、扉間の言葉に「千手とうちはの雪解けぞ!!」と、小躍りして喜ぶだろうと僕は思っていた。
なのに、現実はもっと酷かった。

「俺も行くぞ扉間!!」
「え…柱間兄さんも来るつもりなの?そんなに未決済の書類山積みにしといて…来るつもりなの?」
「そうぞ!マダラと約束したんぞッ」

そういうと、柱間はガシッと僕の手を掴み…

「手伝ってほしいのぞ扉間。扉間なら出来る!俺と扉間、二人で力を合わせて仕事を片付け、ともにうちはの宴席に参加しようぞ!!」

おいおい、なんだそれ、フザケンナよ!
僕はいまから木の葉商店街へいって、扉間の全財産を使い切るくらいの、超高級な貢物を買わなきゃならないんだよ!お前に関わってるヒマなんてねーよ!

「無理だ!正直、オレは物凄く忙しい。貴様に関わってる時間なんてない。仕事が片付かないのなら、オレが火影の名代として祝ってきてやるから、安心して一人寂しく仕事してろ」
「イヤぞ!行かせんのぞ…。扉間一人だけ、うちはになど行かせんのぞ!!」
「はぁ!??なに言ってんだアンタ。放せよ!オレにはやらなきゃならないことがあるんだよ!!」

「イヤぞ!!どうしても行くというのなら…この俺を倒してからいけッ」
「フザケンナ!!!」

カッと頭に血が上った僕は手慣れた動作で火遁の印を結ぶ。しかし悲しいかな、僕の口から業火が噴出されることはなく、ふぅ~という空気の抜ける音だけが部屋に響いたのだった。

そう…蕎麦屋でも同じことを体験したから、僕も扉間も分かっているのだ。
扉間の身体では火遁は使えず、イズナの身体では水遁は使えないと。

しかしそんなこと知る由もない柱間はポカン…とした顔をして『扉間』を見ている。

「いまの、火遁の印ぞ…扉間」
「ちょっとイズナの真似をしてみただけだ…忘れろ!」
「二人は仲良しなのぞ?いつの間にそんなに仲良しになったのぞ~」

冷やかすように肘で『扉間』の脇腹をつつく柱間が心底憎らしい。しかしこの柱間が顔を出せば兄さんは喜ぶのだ。僕は覚悟を決め、机に乗った書類の半分を持ち上げた。
今日は机仕事ばっかりだ…最悪。

「サッサと仕事を終わらせるぞ…。柱間兄さんが顔を出せば、みんな喜ぶ」

特に兄さんが…。

死にかけた魚のような目をしたまま、僕は黙々と仕事を片付けていった。

この仕事が終わるころには、木の葉商店街はどこも閉店しているだろう。扉間がしこたま溜めこんだ金を使って僕への貢物を買うことはできそうにない。
それに柱間が僕の宴席に参加するなんて聞いてない。兄さんは何も話してくれなかったのだ。

つまり、僕の誕生日を祝う宴席で、兄さんと柱間は仲良く酒を酌み交わすつもりだったのだ!

僕はあくまで「千手がうちはに頭を下げる」ことを楽しみにしていたのであって、兄さんと柱間が仲良くすることを望んでいたわけではない。

(でも兄さん…柱間が顔出したら、死ぬほど喜ぶんだろうな…。待っててね、今すぐこの馬鹿を連れていくから!!)

僕の気持ちも知らずに柱間は、能天気に僕に話しかけてくる。

「去年からおかしいと思っておったんぞ~。千手からイズナに送る祝いの品を、どういうわけか扉間が選んでおったからな。しかしそうか~、今年も熱心に選んでおると思ったら、直接渡しに行く心づもりだったのか」

そんな話、聞きたくなかった!!!
ってか、プレゼント選んだのアイツだったのかよ!チクショーーーー


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

火影の大きな執務机に山積みにされた仕事は、僕と柱間の二人で片付けられる量を超えており、僕は早々に見切りをつけ直近で重要度の高い物だけを片付ける方向にシフトした。
そのおかげか、なんなのか、九時には仕事を片付け千手邸へと戻ることができた。あとは千手の正装を身に付け、扉間が選んだ僕への祝いの品と、無駄にテンションの高い柱間を兄さんの元へ届ければ、今日の『扉間』の任務の半分は終わりだ!

もう半分は宴席についてから、ひたすら『イズナ』をよいしょし、兄さんを崇めたて、扉間が格下であることを演出すればいい。

最高の誕生日じゃないか!!!がんばれ、僕ッ

朝から張り切りすぎて疲労のたまった『扉間』の身体に鞭打ちながら、僕は柱間を従えて千手邸を後にするのだった。

「さぁ行くよ!!兄さんが待ってるッ」
「兄者ならここにおるのぞ、扉間~。ははは、相当浮かれておるなお主」

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