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イズナちゃん、Happy Birthday゚+。*(*´∀`*)*。+゚

(その1)のつづきだよ!





二月十日、火曜日。
僕は今日、27歳になった。

扉間の身体で…ね。


扉間と精神が入れ替わり、乱闘騒ぎの末、兄さんが駆け付けた。多分それがいけなかったのだ。
僕は元来面白いことが大好きだ。
でもそれより何より、もっと大好きなことがある。

兄さんの笑顔だ。

正直、あの場に駆け付けた兄さんに『扉間』として殺気を向けられたことは辛かった。身体は扉間でも中身は僕だ。でも兄さんは僕に気付いてくれなかったのだ…。
すべてをぶちまけ、兄さんに泣きつきたかった。兄さんに助けてもらいたかった。

しかし気付いたのだ。

いつも僕が扉間とトラブルを起こすと、兄さんが駆け付けて僕を助けてくれる。全力で兄さんが僕を守ってくれる。でもそのたびに、兄さんは火影の弟で、火影の補佐役で、同僚で、かつての敵である千手のナンバーツーと公衆の面前で対立して周りに悪い印象を与えてしまう。
元々、戦場において鬼神のごとく戦う「うちはマダラ」の名は恐怖の代名詞のようなものだったけれど、里が出来てからはトラブルの代名詞のようになっていた。

それもこれも、元を正せば僕と扉間の喧嘩のせいだ…。

なのに誰も僕や扉間を責めない。その分すべてが兄さんの方に回っていく。それっておかしくない?

要は、僕と扉間が仲良くすればいいのだ!
喧嘩などしなければいいのだ。
あと千手はうちはに大人しく従えばいいのだ。

僕は扉間は好きじゃないけど、兄さんを特別大切にしてくれる柱間のことは嫌いじゃない。最初は大っ嫌いで「シネ」って思ってたけど、いつも兄さんのことを里のみんなから庇ってくれる柱間のことは評価できた。
しかし全面的に評価できるわけでもない。そもそも、こういった複雑な状況を生み出したのは、その昔、柱間が兄さんを誑かしたことに端を発しているからだ。

里で幅を利かせている千手は好きになれないし、扉間とは決着もついていないし、兄さんには『扉間』として敵意を向けられるし、なぜか柱間に「なにをしているのぞ!」と叱られるし…正直腹が立った。

で、閃いたわけだ。すべてを円満に解決する方法をね!

公衆の面前で土下座してやったさ!扉間の身体でね!!!

(ついでに兄さんの足に泣いて縋って、『今までの非礼をすべて詫びますマダラ様!!』とか言えばよかったかな~)

しかし僕は楽しみは後に取っておくほうなのだ。

今日は僕の誕生日!
神様がくれたこの人生最大級のプレゼントを活用しない手はない!

「ごはん、まぁまぁ美味しかったよ柱間兄さん~」
「おぉ…そうか、それは何よりぞ。しかし扉間…お主、なにか変ではないか??」

訝しがる柱間を無視して、僕は「ご馳走様でした!」と両手を合わせ、食事の終わった膳を台所へと運びながら叫んだ。

「オレ、もう職場行くから!あとヨロシク~」

「こんな早くに何をしに行くのぞ!?」背後から柱間の声が追いかけてくるが、相手をする気なんてサラサラない。
「何をするのか」そんなの愚問だ。

今日は、うちはイズナの誕生日!
ならばこの身体でやることは一つだけ!!

今日から千手扉間は、イズナ様の下僕になるのだッ

(兄さんの喜ぶ顔が目に浮かぶよ…ほぅ)


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

下僕として、今日という日に、まず何をなすべきなのか。僕、『千手扉間』は考えました!

(下僕なら、まずは朝一に出勤してご主人様の仕事部屋を綺麗に掃除しなきゃね~)

白いマスクに三角巾、それに割烹着姿で僕は本部棟へと出勤した。もちろん、右手には桶と雑巾。左手には箒を持参した。下僕ならこれくらい当然だろう!

「おはようございます…と、とびらま殿?」
「おはようございますヒカク殿。いつもイズナ様がお世話になっております。今後ともイズナ様をお願い申し上げます」

廊下ですれ違うすべての人間に、『扉間』は律義に立ち止まり、深々と頭を下げ「イズナ様がお世話になっております」と言って回った。
大抵の人間は戸惑いつつも、「あぁ、そういえばイズナ殿の誕生日でしたね」と会話を続ける。そして必ず訊ねてくるのだ。

「何をしておいでなのですか?」
「その恰好は一体…」
「なにかあったのですか?」

だから僕は言ってやった。「イズナ様の執務室を綺麗に掃除することから、オレの朝は始まるのです」と!
知られざる扉間の朝の習慣を耳にし、大抵の人間は驚いていたが、ヒカクだけはクールな反応だった。

「そうですか、よい心がけです」
「あ…はい。がんばります…」

何かを見透かしたかのような視線はヒカク独特のもので、深い意味はないのだろうが、心臓に悪い。扉間もこういう居心地の悪さをヒカクの前では感じていたのだろうか…。

(ヒカクには当分近づかないことにしよう…)

挨拶に手間取り、予定より部屋につくのが遅くなってしまったが、こうして僕は見慣れた自分の執務室を『扉間』の姿で、念入りに隅々まで掃除し始めるのだった。


・:*三☆・:*三☆・:*三☆

我ながらよくぞここまで部屋を綺麗に出来たものだ!!と自画自賛できるくらいに部屋を掃除し終えた僕は、次にマスクと三角巾と割烹着を脱いで、イズナ様の机仕事を片付けにかかった。

下僕たるもの、主の仕事の肩代わりくらいせねば!!

あとは、同室の『イズナ』や、部屋を訪れるものを待つばかり。

(早く来いよ!扉間はこんなに頑張ってんだぞ!!)

しかし僕の朝一での挨拶回りが良かったのか、『イズナ』が血相を変えて執務室に飛び込んできた頃には本部棟は妙な雰囲気になっていたらしい。

「何をやらかしたイズナ!!!」
「何もしてないよ」
「嘘をつくな!!朝から皆がオレのことを『イズナ様』呼ばわりだぞ!?どういうことだ!!」

こんなバカなことがあってたまるか!と頭を抱える美青年に、さらに僕は追い打ちをかけてやった。

「イズナ様の午前中のお仕事は、すべてこの扉間が終わらせておきましたので、ご自由にお過ごしください~」

そこで漸く扉間は気付いたのだろう、僕の手元にある書類がイズナの仕事であると。

「もうお前の魂胆は分かったぞ…!オレをお前の下僕にするつもりだろう!!そうはさせるかッ」

「そうはさせるか!」といったところで、扉間に打てる手などたかが知れている。
『イズナ』は悪態をつきながら扉間の机にすわり、扉間の仕事を片付け始めるのだった。

そして柱間は『イズナ』が持ってくる扉間の書類と、『扉間』が持ってくるイズナの書類に首を傾げながら「二人は仲良しなのぞ?」とマダラに訊ねたのだった。

「俺が知るわけねぇだろ。そもそも扉間なんて興味ねーんだよ。今日はイズナの誕生日で準備もあるし、残業なしで夕方には帰るッつってんだろ!」
「おぉ!そうだったのぞ~」
「忘れてんじゃねーよ!」

仕事に追われイライラと書類を捲るマダラを気にした風もなく、柱間は笑顔で爆弾を投下する。
それは『イズナ』にとっての爆弾だ。

「夜には俺も顔を出すのぞ!」
「本気でいってたのか…?うちはの人間しかいねぇんだぞ。他の一族のやつだって、書状と祝いの品を使者に持たせるだけで、本人が参加するわけでもねーのに」
「それでも大きな進歩ぞ!!今まで相争っていた者同士が、誕生日を祝い、声をかけあう。マダラも喜んでおったではないか!」
「まぁ、そりゃあな…。イズナの誕生日を祝われりゃ悪い気はしねぇよ」

「だーかーらー、今年は俺が直接参加するのぞー!」と両手を上げて宣言する柱間だったが、その机の上には山と積まれた書類が載っており、マダラは眉を顰め溜息をつくのだった。

「扉間のやつにどやされてもしらねーぞ…馬鹿が」

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